morito

個人的に勉強したことのメモを投稿していく技術ブログ。最近はWebアプリ開発と量子コンピュータの勉強をしてます。

シュレーディンガー方程式入門のための波動方程式

シュレーディンガー方程式とは

フランスのド・ブロイはボーアの原子モデルをもとに電子波動説を唱え、粒子が波と同じような性質を持つといいました。

ド・ブロイが提唱した電子の波は
そのまま電子波とかド・ブロイ波ともよばれますが、
電子は物質を構成する素粒子の一つでもあり、
最近では他の素粒子にも同じような波動性が確認されたので
今では物質波と呼ばれています。

シュレーディンガーはド・ブロイの提唱した物質波に
興味を持ち波動力学として理論構築をおこないました。

波動性を示す物質が時間と共に他の位置に伝わっていくという挙動を計算するための式がシュレディンガー方程式です。

下記の数式で表されます


i\frac{h}{2\pi} \bullet \frac{\partial \psi}{\partial t}=H\psi

$$ i\frac{h}{2\pi} \bullet \frac{\partial \psi}{\partial t}=H\psi $$

ここで、
 i 虚数単位
 h プランク定数
 \psi (プサイ):波動関数
t:時間
Hハミルトニアン):エネルギーに対応する演算子

よくわからん記号が多いけどこの式を使うことで
原子核の周りにある電子がどういう軌道で動くのか
求めることができるらしい^^

数式を理解するために必要な知識

シュレーティンガーの方程式を理解するために
高校数学と物理学の復習をしました

複素数、指数関数、微分積分オイラーの公式などの
数学の知識に加えて、波動などの物理学が必要になります
特に波動関数を導くために高校物理で習った波動方程式などを
思い出しておくことは必須でした

情報学部なので数学のほうは大学でもまあまあやっていたのですが
物理は入試以降、全く触れてなかったので何も覚えてなかったです

今回は軽く復習した波動に関する式と用語を
備忘録としてまとめておきます

波動系の用語って直感的に理解しにくくない?

波動に関する数式と用語

用語

周期:T

時間的に周期的に繰り返す波の1周期の時間

波長:\lambda

空間的に周期的に繰り返す波の1周期の長さ

周期も波長も波動の1周期のことを言っていたんですね
波の1周期とは連続する波の山から山、谷から谷のことです
f:id:sakanamori:20201025205359p:plain

振動数:\nu

媒質が1秒間に往復する回数。周期とは逆数の関係にある。

ヘルツ(Hz)とかはこれのこと


\nu = \frac{1}{T}

波の速さ:v

振動数\nuと波長\lambdaをかけると速さvになります


v=\nu\lambda

角振動数:\omega

角周波数または円運動ともいう。2\pi秒間の振動回数を表す
振動数\nu2\pi

角速度(ベクトル)と同じ数値だが、シュレーディンガー方程式ではスカラー量として扱う。


\omega=2\pi\nu=\frac{2\pi}{T}

波数:k

2\pi\lambdaで割った数値


k=\frac{2\pi}{\lambda}

2\piの中に何波長含まれているかを表すもの

振動と波動に関する数式

単振動の変位

周期的に変化する運動である等速円運動ですが
これを直径に射影した動きを表した式が単振動の式になります
ググってみるとわかりやすいGIFがいっぱい出てくる

初期値0、振幅Ay軸に射影した場合の式は


y=A\sin\omega t\tag{1}

波動方程式

単振動は直線上で行ったり来たりを繰り返すのみですが、
波動は伝わっていくものです。

原点以外の任意の点でどのような振動になるかを表したのが波動方程式

波動方程式では任意の点xの時刻tにおける変位y(x, t)は以下のように表します。


y(x,t)=A\sin 2\pi (\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda})\tag{2}

この式を導くため、
単振動波における、任意の点$x$の波について考えてみます。 f:id:sakanamori:20201025205302p:plain

xにある波も元は原点で発生したものが伝わってきたものです。
考え方を変えると、点xでは過去における原点の振動が再現されているということになります。

原点では単振動の式(1)で表される振動をしているので、
この式をもとに(2)式を導いていきます。

まず\omega=2\pi\nu=2\pi Tを使って(1)式を変形します
また、原点はx=0なので、変位y=(x,t)は、


\begin{align}
y(0, t)&=A\sin\omega t  \\\\
&=A\sin \frac{2\pi t}{T} \tag{3}
\end{align}

となります。

次に、点xにおける変位y(x, t)を考えるのですが,
xでは何秒前の原点の振動が再現されているのでしょうか?

この点xの波の伝わる速さをvとすると、原点から点xに到達するまでに\frac{x}{v}秒かかります。つまり、\frac{x}{v}秒前の振動が点xで再現されています。

なので、点xにおける変位y(x, t)


y(x, t)=y(0,t-\frac{x}{v})=A\sin2\pi\frac{(t-\frac{x}{v})}{T}

となり、計算すると


\begin{align}
y(x, t)&=A\sin\frac{2\pi}{T}(t-\frac{x}{v}) \\\\
&=A\sin2\pi(\frac{t}{T}-\frac{x}{vT}) \\\\
&=A\sin2\pi(\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda})=(2)
\end{align}

綺麗に(2)式の形に変換することができました。

そして波動関数

ここまで、波動方程式を導くところまでを復習しました。

これらの式はシュレーティンガー方程式の波動関数\psi中に含まれています。

式(2)から2\piを消去するように\omegakを使って変形すると


\begin{align}
y&=A\sin(\omega t-kx)\\\\
&=-A\sin(kx-\omega t)
\end{align}

となります。そして、波動関数\psiは以下の式です


\psi=A\cos(kx-\omega t)+Ai\sin(kx-\omega t)=Ae^{i(kx-\omega t)}

高校で習う波動方程式波動関数の中に含まれていることがわかると思います。

波動方程式を、複素数と指数関数を用いることで、空間的に拡張し減衰や増幅まで表せるようにしたものが、シュレーティンガー方程式のなかでもちいられていることがわかるとおもいます。

参考

http://www.wakariyasui.sakura.ne.jp/p/mech/tann/tannsinn.html

http://hooktail.sub.jp/wave/sinWave1/

マンガでわかる量子力学