morito

個人的に勉強したことのメモを投稿していく技術ブログ。最近はWebアプリ開発と量子コンピュータの勉強をしてます。

量子コンピュータ入門書、量子コンピュータ[図解雑学] を読んでみた

2日ぶりの更新になります。

量子コンピュータを勉強していくにあたって、
これからどのような知識が必要になるのか、
これまでにどのような研究がされているのか、
量子コンピュータの概要を知ることができるような入門書を探しました。

電気通信大学教授である西野哲郎氏による量子コンピュータ[図解雑学](ナツメ社)を読んだので レビューを書いてみます。

本の構成

本書の内容は下記の構成になっています。

Chaper1では
現在の基本的なコンピュータアーキテクチャの一つである
ノイマン型コンピュータが苦手な計算(因数分解、巡回セールスマン問題)と
量子コンピュータがどのような仕組みでそれらの問題を計算できるのか?
という点について、量子の基本的な原理の解説とともに整理しています。

Chapter2では
現在主流であるノイマン型コンピュータの歴史と簡単な仕組みを紹介し、
その計算能力の限界について
N=NP問題という計算機科学の未解決問題を取り上げ解説しています。

Chapter3では
量子コンピュータ研究の歴史を振り返る形で
量子コンピュータが脚光を浴びるまでのプロセスが解説されています。
特に量子力学における最大の未解決問題である観測問題についての解説は非常に面白かったです。
シュレティンガーの猫、コペンハーゲン解釈エヴァレット解釈など
SF映画にもよく出てくる単語の話もあります

Chapter3とChapter4では
量子コンピュータが行う量子計算とはどのようなものであるか解説しています。
量子計算には2通りの定義
「量子確率的な計算」「量子ビットに対するユニタリ変換の適応」があり、
量子コイン投げという問題を取り上げ、それぞれのChapterで解説しています。

Chapter5では量子回路の論理構成について解説しています。
図がとにかく豊富で、現状のコンピュータの論理構成との比較もあり、
非常に分かり易かったです。

Chapter6では
量子コンピュータを物理的にどう実現するのか、
過去の研究をいくつか紹介する形で解説しています。

感想

内容をざっと書き出しましたが、本書の特徴は
とにかく図が多いという点だと思います。
1ページごとに図が書かれています。

特にChapter1で取り上げられている干渉計の実験などは
図がなくてはなかなか理解しにくいところだったので
とてもありがたかったです。

また、Chapterごとの話のつながりがわかりやすいです。
現状のコンピュータの課題と量子コンピュータを使うことの利点、
それを量子計算でどう解決するのか?というストーリーが
整理しやすい構成になっています。

過去の研究などもセクションごとにわかりやすい図とともに
綺麗に整理されていて、量子コンピュータという分野の俯瞰的な知識を仕入れることができました

出典

量子コンピュータ[図解雑学] , 西野哲郎, ナツメ社